第7章 AIの社会実装に向けて

問題1

以下のAIのビジネスへの利活用に関する文章のうち、最も適切なものを選べ。

  1. AIは社会をより良くしていくために利活用されるべきであり、ディープラーニングの発展によりAIが生み出す価値は加速度的に増加しており、これらの価値を社会で適切に利活用することができれば、大きなイノベーションを起こすことが可能となっている。
  2. AIの利活用においては、革命的なレベルでビジネスの構造を変革することが必須でROIを合わせる必要はない。
  3. AIの利活用は技術的な要素が大きいため、どのような成功を導きたいのかという経営方針とは分離して検討するべきである。
  4. ビジネスにおいてAIを利活用するときに最も重要な検討事項は技術的な成功が可能かである。

📝 解答

1

🔍 解説

  1. ディープラーニングを活用することで革命的なレベルでビジネスの構造を変革することが可能となりましたが、ROI(費用対効果)を合わせることは必須です。
  2. AIの利活用において最も重要な一つとして、どのような成功を導きたいかの定義であり、目的によって成功の指標が異なります。
  3. ビジネス的な成功と技術的な成功は車輪の両輪であり、一方だけを論点とすることはできません。

問題2

AIプロジェクト進行に関する文章のうち、適切なものの組み合わせを1つ選べ。

📝 解答

4

🔍 解説

問題3

AI適用の検討およびプロセス再設計に関する文章のうち、適切なものをいくつでも選べ。

  1. AI適用の検討において必要なことは、1点目は「そもそもAIを適用する必要があるのかを考察し、利活用した場合の利益計画を立てて投資判断を行う」ことと「技術上に組み込むべきデータのフィードバックの機構をどのようなものにするかを検討する」である。
  2. 投資判断は、初期でROIが合うかで判断するべきで中長期的な検討はAIの特性から不要である。
  3. 投資判断は、精度100%を前提としたAIシステムによるビジネスモデルを検討したうえで行うべきである。
  4. AIの特性を活かしたフィードバック機構をビジネス上も技術上も組み込むことができるかが重要である。
  5. 現業務プロセスを変更することはビジネス上難しいため、AIを利活用する場合は現業務プロセスに組み込みやすいAIの適用箇所を検討するべきである。
  6. AIを利活用する場合は、現プロセスのコストとAI導入後のコストを算出し、AI導入後のコストが増大する場合は、AI の適用箇所と技術の連携範囲を再検討する必要がある。

📝 解答

4, 6

🔍 解説

  1. 「技術上に組み込むべきデータのフィードバックの機構をどのようなものにするかを検討する」ではなく「ビジネス・技術上に組み込むべきデータのフィードバックの機構をどのようなものにするかを検討する」である。
  2. ビジネス的には短期の試算に留まらず、初期のターゲットを定め、コストと精度のバランスを中長期で見ていく必要があります。
  3. 精度100%を前提としたAIシステムによるビジネスモデルを構築することはやめるべきで、精度を求めるのではなく、結果としての精度ありきでどう活かすかを検討することが重要である。
  4. 正解。フィードバック機構とは、データが蓄積され、データのフィードバックが行われ、そのデータをAIが継続的に学習することで、AIの精度が向上し、より少ないコストで大きな成果を生み出すことができるというサイクルを指します。
  5. AIを利活用する場合は、BPRは必須となります。

問題4

クラウドとエッジの違いに関する以下の文章のうち、適切なものを全て選べ。

  1. エッジは装置が手元にあるためモデルの更新や設定が容易であるのに対して、手元に装置がないクラウド環境は更新・ 設定に大きな工数を要する。
  2. クラウドを利用した場合、クラウド自体がダウンしたときの影響が大きいのに対して、エッジは機器単位での故障の対応をすれば良く影響の範囲が小さい。
  3. クラウドはモデルのスループットとしてネットワーク遅延の影響を考える必要があるのに対して、エッジはネットワークの遅延を考える必要はない。
  4. クラウドではモデルを更新する必要があるのに対して、エッジではモデルを更新する必要がない。

📝 解答

2, 3

🔍 解説

  1. クラウドはネットワーク越しに一元的にサービス単位でモデルを管理できるため扱いが容易なため誤り。
  2. エッジにおいても精度を上げるためにはモデルを更新する必要があるため誤り。

問題5

AIプロジェクト体制を構築する際の説明として、適切なものを選べ。

  1. AIを内製する場合、プロジェクトチーム内にはAIモデルを構築する役割のみが必要となる。
  2. 運用時において、AIのモデルの推論結果を修正したりモデルを更新したりするためのインタフェースを構築するためのデザイナーは必要ない。
  3. データを大量に集めればAIのモデルを適切に構築できるため、マネージャーはデータを集めることを中心に考えるべきである。
  4. AIの研究開発およびそれを支えるシステムを構築するエンジニア、マネージャーやデザイナーなどトータルな構成が重要である。

📝 解答

4

🔍 解説

AIモデルの開発には、AIの研究開発体制およびそれを支えるシステムを構築するエンジニアの他に、ビジネス・テクノロジー両面から方針を検討できるマネージャー、教師データを作成するためのインタフェースを開発するデザイナーなど、トータルな構成が重要です。

問題6

運用フェーズの説明に関する以下の文章のうち、適切なものを選べ。

  1. 一度モデルを構築した後は、運用時にはなるべくモデルを更新しない方が良い。
  2. クラウドでサービスを提供する場合は、オートスケールなどの仕組みを利用し計算資源の自動調整を行うべきである。
  3. AIシステムのサービス化、プロダクト化は重要なことなので自社内のみのクローズドの環境行った方が良い。
  4. AIシステムやサービスは不明確なことが多いため、現在の文脈以外に悪用される危険性はあるか。それを防ぐ対策は取られているか等の検討は不要である。

📝 解答

2

🔍 解説

  1. 運用フェーズにおいては、多くの場合モデルの精度を向上させるために再学習をしてモデルを更新します。
  2. クラウドでサービスを提供する場合、事前にアクセスの量を決められないことも多く、オートスケールの仕組みを入れておくことが望ましいです。
  3. AIシステムのサービス化、プロダクト化は必ずしも自社内のみのクローズドの環境行うものではありません。例えば、産学連携を行う等も手段の一つです。
  4. AIシステムは作ったら終わりではなく、そこから得た教訓を運用の改善やシステムの改修、次の開発へと循環させていくサイクルが重要です。また、技術発展が早い中、法的、社会的、倫理的、文化的な課題などで明確な答えや線引きがないものもが発生する可能性もあり検討は必要です。

問題7

ディープラーニングの学習の際に、データセットが原因で学習できない場合の理由として適切なものを全て選べ。

  1. データのラベルが偏っている場合。
  2. データの数が少ない場合。
  3. データの質(画質・音質など)が悪い場合。
  4. データの数が多すぎる場合。

📝 解答

1, 2, 3

🔍 解説

機械学習のモデルを構築する際には、なるべく偏りがなく、大量の品質の良いデータがあることが望ましいです。

問題8

モデルを学習する過程で、適切なパラメータの調整が行われないとどのような問題が生じる可能性があるか、次の選択肢から正しいものを全て選べ。

  1. 実行ごとに結果が変化してしまう。
  2. モデルが未知のデータに対して一般化できない。
  3. 学習が不安定になり結果が不規則。
  4. プログラムが異常終了しやすくなる。

📝 解答

2, 3

🔍 解説

不適切なパラメータを用いると、「過学習」というモデルが訓練データに対して過度に最適化され、新たなデータに対する予測能力が低下する状態になる場合があります。これは、パラメータが訓練データの特性に固執するあまり、一般的なパターンを学習できなくなるためです。

また、学習率やバッチサイズなどのパラメータが適切でない場合、学習プロセスが不安定になり、訓練中の損失関数が不規則に振動することがあります。これにより、モデルの収束が遅れたり、局所的な最小値に陥ったりするリスクが増大します。

問題9

データリークが発生するとどのような問題が起こる可能性があるか、次の選択肢から正しいものを全て選べ。

  1. 未知のデータに対する予測精度が低下する。
  2. モデルの学習時間が不必要に長くなる。
  3. モデルが特定のデータセットに過度に適合してしまう。
  4. モデルの学習が完全に停止する。

📝 解答

1, 3

🔍 解説

データリークは、モデルが本来知るべきではない情報にアクセスしてしまい、それが学習過程に影響を与える現象です。例えば、精度検証に用いるべきテストデータを学習してしまうことで、本来精度が低いモデルでも、テストデータに対する検証で不当に高い精度となってしまいます。その結果、 未知のデータに対し、想定していた予測精度が出なかったり、学習に利用したデータでしか性能のでないモデルになってしまう可能性があります。

問題10

カメラからの画像認識システムを運用する中で、もしも徐々に精度が低下していったとしたら、その原因として考えられるものを全て選べ。

  1. モデルの劣化。
  2. 計算機の劣化。
  3. カメラの劣化。
  4. 撮影対象の変化。

📝 解答

3, 4

🔍 解説

通常は学習したモデルや計算機自体は時間が経っても劣化はせず同じ結果を返すと想定されます。一方、カメラ等の計測デバイスにおいては、場合によっては一部のデータが欠損し、そのデータを用いることで推論精度が落ちる場合があります。また、撮影対象についても、周囲の環境や被写体の条件が変わることで、精度が低下することもあります。精度が低下する原因を即座に特定することは難しいものの、問題が発生したときには、まずは入力されたデータが適切かどうかをチェックすると良いでしょう。

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